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理系出身の筆者、生物や化学のおもしろさを伝えるためのサイトです。当面は、生物や動物、それらに関連する技術・研究のメカニズムについて発信していきます。温かい目で見守って下さい。

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浸透と身近な現象

浸透(しんとう)というものを、ご存知でしょうか?浸透が関係する身近な現象は、意外にも多いです。ここでは、浸透とそれが関わる身近な現象について紹介します。

浸透とは?

浸透を説明するイラスト

濃度の異なる2つの溶液を、半透膜(はんとうまく)で仕切って、置いておくと、濃度の高い溶液から、濃度の低い溶液の方に水(溶媒)が移動します。この現象を浸透と言います。

ここで、溶液を仕切るのに用いた半透膜とは、水(溶媒)のみを通す膜のことです。

浸透は身近な現象にも密接に絡んでいます。以下では、身近な具体例を紹介しています。

浸透で縮む

ボウルに入ったしおれた野菜

最初は、浸透により縮む現象についてです。

「青菜に塩」ということわざがあります。「元気を失ってしょげてしまっている」様子を表す表現です。実際にホウレンソウや小松菜などの青菜に塩を振りかけると、しおれてしまいます。

青菜に塩を振りかけると、浸透により青菜の細胞から水分が放出され、細胞が縮みます。そのため、青菜はしおれてしまいます。

また、キャベツや玉ねぎなど、水分を多く含む野菜を炒める時に、塩を少し振りかけると、野菜がすぐにしんなりして火が通りやすくなります。これは、浸透を利用した、料理のテクニックです。(料理が得意な方にとっては当たり前で、テクニックというほどのものではないでしょうが。)

ちなみに、ナメクジに塩をかけると、縮むのも浸透によるものです。

浸透で膨らむ

水につけた野菜

生野菜を食べる前に水につけると、シャキッとした食感になります。これに関係しているもの浸透圧です。野菜の細胞の中の細胞液には、様々な物質が溶けています。そのため、生野菜を水につけると、濃度の高い野菜の細胞の中へと水が浸透します。その結果た、野菜が水で膨らみ、シャキッとした食感になるのです。

ただし、水につける時間が長いと、ビタミンなどの栄養素が流れ出してしまうので注意が必要です。おいしく生野菜が食べられることにも、浸透が一役買っているということです。