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理系出身の筆者、生物や化学のおもしろさを伝えるためのサイトです。当面は、生物や動物、それらに関連する技術・研究のメカニズムについて発信していきます。温かい目で見守って下さい。

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3つのワクチンの種類とそれらの特徴

病原体の感染を防ぐためにワクチンを打ちますが、ワクチンは3種類に分類されます。

  • 生ワクチン
  • 不活化ワクチン
  • トキソイド

これらの、ワクチンの概要とメリット、デメリットについて、順に紹介します。

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注射器と薬品

生ワクチン

生ワクチンでは、病原性を弱めた生きたウイルスや細菌を投与します。体内で弱い感染を引き起こし免疫を獲得します。

生ワクチンモデル

  • メリット1:3種類の中で最も強力な免疫を獲得できる
  • メリット2:長期にわたり免疫が維持される
  • デメリット:3種類の中で最も副作用が生じやすい

生ワクチンは生きたウイルスや細菌を用いるため、「液性免疫」と「細胞性免疫」の両方を獲得できます。そのため、最も効果的なワクチンです。免疫の持続期間も長く、一生のうちに一回の接種で済むものも多いです。

ただし、病原性を弱めたとはいえ、生きたウイルスや細菌を投与しています。そのため、免疫力の弱い方には、まれに重篤な副作用が生じます。

日本で接種される生ワクチンの代表例が以下です。

  • BCG(結核予防)
  • 麻疹・風疹混合(MR)
  • おたふくかぜ
  • 水疱瘡 .etc

また、生ワクチンを接種した場合、別のワクチンを接種するまで、27日以上空けるようにしましょう。

ちなみに、エドワード・ジェンナーが、作り出した世界初のワクチンである天然痘ワクチン(牛痘の膿を利用)は生ワクチンに分類されます。

不活化ワクチン

不活化ワクチンは、化学薬品などを用いて、感染力を失わせたウイルスや細菌それらを構成するタンパク質の一部をもとに作製します。

不活化ワクチンのモデル

  • メリット:生ワクチンに比べ副作用が生じにくく安全性が高い
  • デメリット1:生ワクチンほど強力な免疫を獲得できない
  • デメリット2:免疫の持続期間が短く、複数回の接種が必要

不活化ワクチンは、生きたウイルスや細菌を用いているわけではないため、生ワクチンよりも安全性は高く、重篤な副作用が生じにくいです。

不活化ワクチンは、「液性免疫」を獲得できます。しかし、感染力のないウイルスや細菌、それらのタンパク質を用いているため、生ワクチンとは異なり「細胞性免疫」を獲得できません。そのため、生ワクチンほど効果は見込めません。また、免疫の持続期間も短く、複数回の接種が必要です。

日本で接種される不活化ワクチンの例は以下です。

また、不活化ワクチンを接種した場合、別のワクチンを接種するまで、6日以上空けるようにしましょう。

ちなみに、不活化ワクチンの方が手が込んでいるため、生ワクチンよりコストは高くなりがちです。

トキソイド

トキソイドのモデル
トキソイドは、細菌が作り出す毒素を無毒化したものを投与するタイプのワクチンです。不活化ワクチンに分類されることもあります。

しかし、トキソイドは細菌が作り出す毒素を使うのに対し、不活化ワクチンは、感染力を失わせたウイルスや細菌そのもの、もしくはそれらを構成するタンパク質を用いるという違いがあります。

  • メリット:生ワクチンに比べ副作用が生じにくく安全性が高い
  • デメリット1:生ワクチンほど強力な免疫を獲得できない
  • デメリット2:免疫の持続期間が短く、複数回の接種が必要

メリットとデメリットについては、不活化ワクチンと同様です。生きたウイルスや細菌を用いていないため、副作用が少ないものの、生ワクチンほど強力な免疫を獲得できません。

 日本で接種されるトキソイドの例は以下です。

また、トキソイドを接種した場合は、別のワクチンを接種するまで、6日以上空けるようにしましょう。

4.まとめ

  生ワクチン 不活化ワクチン トキソイド
成分 病原性を弱めた生きたウイルスや細菌 感染力を失ったウイルスや細菌、それらのタンパク質 細菌が作る毒素を無毒化したもの
獲得免疫
副作用 免疫の弱い人に稀に生じる ほとんど生じない ほとんど生じない
免疫の持続時間 長期 短期 短期