ラクダのこぶは脂肪:web動物図鑑
ラクダのこぶの中身は何でしょうか。夢や希望と答えられると良いのですが、違います。水でもありません。答えは脂肪です。ここでは、ラクダが何日も食事や水を摂取しなくて良い理由について見ていきましょう。
こぶは脂肪の塊
ラクダのこぶは脂肪の塊です。このこぶのおかげで、過酷な環境でも生き残ることができます。食べ物を食べられるときに、こぶに脂肪を貯め込みます。ヒトコブラクダの場合、食べ物が十分に食べられる時は大きく、80 kgにもなります。食べ物を食べられない時には、こぶの脂肪を消費するため、こぶは小さくなります。ヒトコブラクダの場合は、50 kg程度になります。
こぶの脂肪が水に
こぶに貯蓄した脂肪は栄養になるだけではありません。ラクダは脂肪から水作り出します。
脂肪という物質は、長い炭素原子の鎖に、多くの水素原子が結合してできています。動物は、脂肪をエネルギーとして使うために、呼吸で取り入れた酸素と反応させています。その際に副生成物として、水が生じます。ラクダはこの水も有効活用することで、長期間水を飲まずとも生きていくことができます。
血液中に水分を蓄える
ラクダは、血液にも水分を蓄えることができます。ラクダは、一度に大量の水を飲みます(ヒトコブラクダ100 L、フタコブラクダ60 L)が、飲んだ水は血液中に保存されます。大量の水を血液中に、蓄えることができるので、長期間、水を飲む必要がありません。
汗や尿、呼吸の回数を抑える
ラクダが水分を取れなくなった時の対策は、まだあります。それは、体外に余計な水分を排出することを防ぐことです。
動物が汗をかく目的のひとつが、体温を下げることです。汗が、蒸発する際に、体の熱を奪って体温を下げてくれます。ラクダは水が飲めない場合、体温を上昇させ、汗をかきにくくすることで、体から排出される水分の量を減らしています。実際、ラクダの昼間の体温は、通常38~40℃ですが、水を飲めない場合、40~41℃にまで上昇します。
さらに、水を飲めない時は、尿の回数を減らすことで、体から排出される水分をできるだけ少なくしています。
また、ラクダは暑い所にいても、呼吸回数は増えません。通常他動物は、周囲の温度が上がると呼吸の回数を増やして、体温を下げます。しかし、呼気には水蒸気として体内の水が含まれ、呼吸をすれば体内の水分が失われます。そこで、ラクダは周囲が暑くなっても、呼吸回数を増やさないことで、できるだけ体内から水分が逃げないようにするのです。