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ワピチの特徴:web動物名鑑

ここでは、ワピチの特徴を紹介しています。

枯れ木の間を歩く角の生えたアメリカアカシカ

名前について

「ワピチ」は、「エルク」や「アメリアカシカ」などの名前で呼ばれます。最初にこれの名前の違いを整理します。

「ワピチ」

ワピチという単語を説明するための図

ワピチはこの種に分類されるシカの総称です。そのため、種を指すのなら「ワピチ」が正しいです。そのため、ここでも「ワピチ」を用いています。

アメリアカシカ

アメリカアカシカという単語を示す図

ワピチは大きく分けて、北アメリカ大陸の亜種と、ユーラシア大陸に生息する亜種に分かれます。北アメリカ大陸に生息するワピチのことを「アメリアカシカ」と呼ぶのです。

「エルク」

エルクという単語を示すための図

「エルク」は少しややこしいです。「エルク」という言葉は地域で示すシカが異なります。以下です。

北アメリカ大陸:『アメリアカシカ』=「エルク」

それ以外の地域:『ヘラジカ』=「エルク」

ヨーロッパからアメリカ大陸に渡ってきた人々が、ヨーロッパのアカシカよりも大きい『アメリアカシカ』を見て「エルク」と呼んでしまったことが原因です。ちなみに、北アメリカ大陸では『ヘラジカ』のことを「ムース」と呼びます。

食事

草を食べる茶色の角が生えたアメリカアカシカ

ワピチは、シカの仲間なので反芻(はんすう)を行う動物です。

ウシの反芻と4つの胃

ワピチは、薄暗い明け方と夕方に食事を行います。主な食べ物は以下です。

  • 樹皮
  • 木の芽

平均して1日に9 kgの食べ物を摂取します。また、ワピチは、ポプラの葉を食べるので、アメリカではポプラが枯れる原因となっています。

毛皮の色

茶色と白色の角が生えたアメリカアカシ

ワピチの毛皮の色は一般的に、以下のように季節によって変化します。

  • 夏:黄色がかかった茶色 or 橙色がかかった茶色
  • 冬:灰色 or 灰色がかかった白色 or 薄い橙色

森林地帯に生息するワピチは、深い赤みのかかった茶色の毛皮です。一方で、冬になるとワピチの多くが、首の周りに茶色いたてがみが生えます。

生活様式

口を開けた角の生えたアメリカアカシカと角の生えていない複数のアメリカアカシカ

ワピチは、1年の大半を同性で作る群れで過ごします。繁殖期になると、ワピチのオス同士は争うようになります。そして、争いに勝った強いオスを中心としたハーレムを形成。ハーレム内には20頭程度のメスと、争いに敗れたオスがいます。ワピチは、このハーレム内で繁殖を行うのです。

オス同士の戦闘スタイル

角をぶつけ合う二頭のアカシカの上半身

ワピチのオスは立派な角を持っています。オスの角は毎年生え変わり、新しい角が生えている間、オスの角は1日に2.5 cmずつ成長。最大で、長さ1.2 m、重さ18 kgにもなります。

シカの角は毎年生え変わる

立派な見た目に反して、繁殖期のワピチのオス同士は、できるだけ角を突き合わせて戦わずに勝敗を決めようとします。角を突き合わせて戦うと、角が欠けたり重傷を負ったりすることがあるので、なるべく戦いたくないのです。

  1. 鳴き声を上げる
  2. 並んで歩きながら相手の角や体の大きさを評価

これでも勝負が決しなければ角を突き合わせて戦います。長いですが、以下に動画を添付しています。

外敵に対する戦闘スタイル

オスは角が生えている期間、角を武器に敵と戦えます。しかし、角が抜け落ちた期間や、角の生えないメスは、強力な前脚蹴りで敵を撃退。繁殖期でないオスは、群れの他のオスと協力して敵を追い払います。一方で、メスの群れでは群れの中でも逞しいメスが、敵の目前で踏みとどまり敵を追い払うのです。

分布

木々の間に座る角の生えた茶色のアカシカ

ワピチが生息しているが以下の地域です。

ワピチは、森林地帯や開きた草原を好む動物です。牧草地やサバナなどでも見ることができます。

一言

アメリカ他陸では、ワピチが増えすぎて、ポプラの木が枯れることによる生態系の破壊が問題となっていました。これは、家畜を襲うオオカミをヒトが駆除してしまったことが原因です。しかし、オオカミを他地域から再導入することで、ワピチの数が減少し、生態系の回復に成功しています。オオカミには怖いイメージがあるかもしれませんが、生態系のバランスを保つためにも、必要な動物だったのです。

オオカミの特徴

ワピチではなくオオカミの説明になってしまいました.....

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