ヘラジカ:web動物図鑑
ヘラジカは世界最大のシカです。ここでは、ヘラジカの特徴について、紹介しています。
食事
ヘラジカは草以外の植物なら何でも食べます。以下がその例です。
- 木の葉
- 木の芽
- 水草
- 樹皮
- 果実
ヘラジカのは木の中でも、ヤナギ、カバノキを好みこれらの若葉や新芽を好んで食べます。
ヘラジカの彩食における、他のシカの仲間との大きな違いは以下の2点です。
水草の採食
水草を十分に食べられる時、ヘラジカの食べ物の約半分は水草で占められます。他のシカも水草を食べますが、これほど大量には食べません。水草は他の植物に比べ、カロリーは高くありませんが、ミネラルを多く含みます。ヘラジカにとって、水草は貴重なミネラル源なのです。
さらに、ヘラジカは水草の採食法にも特徴があります。ヘラジカは水に潜って水草をむしり取り、水面に顔を出すことなく飲み込むことが可能です。それに対し、他のシカも水に潜って水草をむしり取ることはできるものの、水中では飲み込めません。必ず顔を水面に出す必要があるのです。
干し草を食べられない
ヘラジカはシカの仲間なので反芻(はんすう)動物です。一般的に、反芻動物は栄養価が低く、食物繊維の多い干し草を食べ生きていくことができます。反芻についてご存知ない方は以下をご覧ください。
しかし、ヘラジカは進化の過程で食物繊維の多い食べ物を消化しにくくなりました。そのため、ヘラジカは干し草を食べられません。ヘラジカが家畜化されなかった理由として、栄養価が低く食物繊維繊維の多い物を食べられなかったことが原因だと言われています。
分布
ヘラジカは北アメリカ大陸と、ユーラシア大陸に生息しています。季節に応じて食料を求め移住する動物です。以下がヘラジカの生息地です。
ヘラジカが好むのは森林地帯です。特に、若い木々、成熟した木々が混在している環境が適しています。若い木々と成熟した木々の用途が異なるのです。
若い木々は食用に利用します。一方で、成熟した自木々は自身を風景に溶け込ませ、捕食者に見つかりにくくするために必要なのです。
また、夏場は水草を食べたり、水浴びしたりすらために水場の近くで生活しています。
毛皮
ヘラジカはその毛皮も特徴的です。ヘラジカ毛皮は2層構造で、体に近い層は柔らかなウール状になっています。
それに対して、外側の毛は長く頑丈で、中が空洞になっています。ここに、体の近くで温められた空気が溜まることで、防寒の役割を果たします。
毛皮の構造からもわかるように、ヘラジカは寒さに強く、暑さに弱い動物です。そのため、夏には木陰で涼んだり、水場で水に浸かったりします。ここで、外側の毛が再び役に立ちます。外側の毛は中に空気が入っているので、体を浮きやすくしてくれるのです。ちなみに、水浴びらダニなどの寄生虫を落とす役割もあります。
角
他のシカと同様、角が生えるのはオスのみです。オスの角は繁殖の時期に大活躍します。繁殖の時期が過ぎると角は抜け落ち、翌年新しい角が生えてきます。
オスのヘラジカは、メスを巡って角を使って優劣を付けます。ます、オスは角の立派さでお互いに誇示して勝負します。より立派な角を持つオスが、勝者となるのです。角の見た目で勝負がつかない場合、実際に角を付き合わせて闘い優劣を決めます。
オスの角は年齢によって、見た目が変わります。これも他のシカと共通です。ヘラジカの場合、5〜12歳の時に角は最大となり、13歳以降は小さくなります。
攻撃性
アメリカの野生動物による死者・負傷者の数は、ヘラジカによるものが最多です。また、世界規模で見ても、ヘラジカによる負傷者の数はカバによる負傷者に次いで2番目に多いです。
ヘラジカは好き好んで、ヒトを襲うわけではありません。驚かされたり、怒らせたりするとヘラジカは攻撃に出ます。
ヘラジカの主な攻撃は蹴りです。威力、リーチともに申し分ありません。さらに、ヘラジカは他の有蹄類(蹄のある動物)と異なり、横方向にも脚を上げることができます。横に回っても危険は回避できません。
横方向の蹴りではありませんが、ヘラジカの攻撃シーンの動画を添付しておきます。ヘラジカが、芝刈り機に強烈な一撃をお見舞いしています。1分3秒付近です。
社会構成
ヘラジカは基本的に群れを作りません。基本的に単独で生活する動物です。ただし、冬になると10頭程度の群れを形成することがあります。