動物の大きさの三大規則:web動物図鑑
動物の大きさには規則があることを知っていますか。動物の生息地域によって同じ種でも大きさが違います。この大きさの違いを説明する規則があります。例外もありますが、動物の大きさは、ここで紹介する三大規則で説明されることも多いです。
ベルクマンの規則
~ベルクマンの規則~
恒温動物の場合、同種の動物でも、寒冷な地域に分布する動物ほど体が大きい。
まずは例です。以下の世界地図とグラフをご覧ください。
世界地図に記された場所で捕獲されたヒグマの体重を量った結果が、グラフの結果です。より寒冷な地域(高緯度地域)のカナダの北極圏で捕獲されたヒグマの方が、ロシア南部で比較されたヒグマよりも体重が大きいです。
理由
ベルグマンの法則が成り立つ理由は、体が大きい動物ほど熱が逃げにくいためだと考えられています。一般的に表面積の大きなものほど熱の出入りが激しいです。体のサイズが大きいほど、体積に占める表面積の割合が相対的に小さくなるため、熱が体の外へ逃げにくくなります。そのため、寒冷な地域に分布する種ほど、体を大きくし、熱が外に逃げるのを防いでると考えられます。
アレンの規則
~アレンの規則~
寒冷な地域に生息する動物ほど、温暖な地域に生息する動物に比べて、体の突出部が小さくなる。
よく提示される例がキツネです。以下の図を見てください。
耳に注目してください。フェネックはアフリカ大陸の北部に生息している動物で、大きく突き出た耳を持っています。一方で、北極圏に生息するホッキョクギツネの耳は小さく、フェネックやアカギツネほどとびでていません。フェネックとホッキョクギツネの生息地の間に生息するアカギツネの大きさ、とび出具合は、両者の中間です。
理由
アレンの規則も、ベルクマンの規則と同様に、熱の逃げる量が原因だと考えられています。体から突出した部分が多いと、それだけ表面積が増えます。ベルクマンの規則でも説明したように、表面積が大きいほど、体から熱が逃げやすいです。そのため、温暖な地域に生息する動物ほど、効率的に熱を逃がすために、体からの突出部が大きくなる傾向があります。一方で、寒冷な地域に生息する動物ほど、突出部を小さくして、体から熱が逃げるのを防いでいます。
フォスターの規則(島嶼化)
~フォスターの規則~
島に生息する小型の動物は、大陸に生息する動物に比べて大型化しやい。島に生息する大型の動物は、大陸に生息する動物に比べて小型化しやすい。
小型の動物が大型化する例としては、モグラが知られています。佐渡島に生息するサドモグラは、日本本土にせいそくする、コウベモグラやアズマモグラに比べ、大型です。
一方、大型の動物が小型化する例としては、イノシシとリュウキュウイノシシが知られています。沖縄に生息するリュウキュウイノシシはイノシシの亜種ですが、イノシシよりも小型です。
理由
小型の動物の場合は、島では捕食者の数が多くないため、身を隠したり、逃げることが少なくなり、小さな体を維持する必要がなくなります。また、他の種との競争に勝ち抜くには大型化する方が有利です。これらの理由から、小型の動物は大型化すると考えられます。
大型の動物の場合、小型化することで代謝量を減らすことができ、少ないエネルギーで生きていけるようになります。いわゆる、省エネになるのです。さらに、性成熟も早くなり、早くから子孫を残すことができ、種の繁栄にも有利です。