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理系出身の筆者、生物や化学のおもしろさを伝えるためのサイトです。当面は、生物や動物、それらに関連する技術・研究のメカニズムについて発信していきます。温かい目で見守って下さい。

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トナカイの特徴:web動物図鑑

ここでは、トナカイの特徴を紹介しています。

地面の草を食べているトナカイ

食事

雪の上で食事をしたり、休憩したりしているトナカイの群れ

基本的には草食性ですが、正確には雑食性です。トナカイが食べるのは以下のようなものです。トナカイは、食糧が少ない春に動物を食べることがあります。

  • 地衣類(冬に主に食べる)
  • 柳、樺の葉
  • スゲ
  • キノコ
  • 小型の齧歯類
  • 鳥の卵

トナカイは、ヘラジカと同様に、主に地衣類を食べるとに適応した大型の哺乳類です。お腹の中に、地衣類を分解して栄養分を生み出すことができる、バクテリアやプロトゾアを住まわせています。

冬は雪に埋もれた、地衣類を鋭い嗅覚でみつけ、前脚で雪を掘り返して食べます。この作業は重労働で、小さなトナカイが掘り返した穴を奪おうとする大きなトナカイもいます。この時、小さなトナカイはすんなりと、大きなトナカイに掘り返した穴を譲ります。

角は、毎年生え変わりますが、トナカイは抜けた角を食べることが知られています。角を食べるのは、カルシウムを摂取するためだと言われています。

トナカイは、ウシなどと同様、胃を4つ持ち反芻(はんすう)をします。

ウシの反芻と4つの胃:web動物図鑑

分布

北極圏に生息しています。具体的には以下のような地域です。

トナカイは家畜にもなっていて、上記以外にも移入された地域もあります。

角のあるトナカイと角のないトナカイ

トナカイはシカの仲間なので、角は毎年生え変わります。

トナカイ:オスもメスも角が生える。

シカの仲間:オスしか角が生えない。

トナカイはシカの仲間にしては珍しく、オスにもメスにも角が生えます。一般的に、シカの仲間にはオスしか、角が生えません。トナカイのオスは、繁殖期になると、メスをめぐって、角を用いて争います。一方、メスに関しては、角が生えている理由はよくわかっていません。

また、オスとメスで、角の抜ける時期も異なります。

オス:繁殖後の秋~冬

メス:初夏の出産後。妊娠していないメスの方が早く角を落とす。

戦闘スタイル

トナカイのオスは、繁殖期にメスをめぐって争います。この争いは、他のシカの仲間と同様な方法で争います。角を突き合わせたり、相手の角に絡ませたりします。この争いに勝利するオスは、角、体が大きく立派オスです。また、オス同士のメスを求めた争いは激しく、負傷したり、時には死亡したりするオスもいます。繁殖期にオスは体重の20~25%を失います。

白夜の間は睡眠パターンを変化

また、北極圏では、夏に白夜と言って、一日中太陽が沈まない日が続きます。一日中明るく、夜になっても暗くなりません。トナカイは白夜の期間、睡眠のリズムを変化させ、食べ物を消化する時だけ眠るようになります。

毎年旅をする

一列になって雪道を進むトナカイ

トナカイは、1年を以下のようにして過ごします。

春:大きな群れで北上

夏:雪の消えたツンドラ地方で採食

秋:大きな群れで南下(引き返す)

冬:森林や尾根にそって少数の群れに分かれて越冬

春と秋には大移動をします。群れは、1~2時間程度の休憩をはさみつつ、1~2ヶ月も昼夜移動し続けます。雪が深く積もった地域では、一列になり疲労を抑えて移動を続けます。また、トナカイの蹄(ひづめ)には毛が生えています。これは、蹄の間に雪が入るのを防ぐためです。

温暖な地域に住むトナカイほど大きい

動物の大きさを決める規則として、ベルクマンの規則があります。

ベルクマンの規則は、恒温動物の場合、同種でも、寒冷な地域に生息する動物ほど、温暖な地域に生息する動物よりも体が大型化しやすいという規則です。これは、体を大ききくすることで、体の外に熱が逃げにくくなり、寒冷地域での生存に有利だからだと考えられています。

動物の大きさの三大規則:web動物図鑑

しかしトナカイの場合、この法則に反します。すなわち、体の大きさは以下のようになります。

温暖な南部に生息するトナカイ > 寒冷な北部に生息すトナカイ

この理由は、寒冷な地域ほど食べ物が少なく、体の大きなトナカイが生きていくのに儒分な栄養を摂取するのが困難であるためだと考えらています。体の外に放出されるよりも、食べ物の量により体の大きさが決まる、良い例です。

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