りけイノシシのweb〇〇

理系出身の筆者、生物や化学のおもしろさを伝えるためのサイトです。当面は、生物や動物、それらに関連する技術・研究のメカニズムについて発信していきます。温かい目で見守って下さい。

MENU

キリンの首が長い理由:web動物図鑑

キリンは首が長いことで有名な動物です。キリンの首が長い理由については、昔から議論されてきましたが、いまだに結論が出ていません。そこで、ここでは、現在提唱されている理論について支持される理由と、確証が得られない理由について見ていきましょう。

水辺に立つキリン

「徐々に首が伸びた?」or「突然伸びた?」

キリンの首が伸びた理由について考える前に、キリンの首は、「代を重ねる毎に徐々に伸びた」のか「突然伸びた」のかについて見ていきましょう。結論から言えば、現在では「突然伸びた」と考えられています。

この根拠は、キリンの祖先の化石を調べると、徐々に首が伸びていることを示す化石が発見されていないからです。もし、首が代を重ねることに首が伸びたのなら、キリンの祖先の化石は徐々に首が伸びているはずです。しかし、このような化石は見つかっていません。そのため、キリンの首は「突然伸びた」と考えられています。

すみわけ説:首が伸びた理由

キリンが木の葉を食べているイラスト

すみわけ説は、キリンが背の高い所に生えた植物を食べるために首が伸びたという説です。

支持される理由

背の高い所に生えた植物を独占でき、他の草食動物との食糧をめぐる競争を回避できた。首を長くすることにできたキリンだけが生き残り、長くできなかったキリンは、淘汰され滅んだ。

確証を得られない理由

オスのキリンは、首を伸ばして、高い所にある植物を食べものの、メスは首を伸ばさず、オスより低い位置にある植物を食べる。なぜ、メスの首も長くなる必要があったのか説明できない。

首が長いオスがモテル説:首が伸びた理由

キリンのメスとオスが向かい合うイラスト
首が長いオスがモテル説は、首の長いオスがメスとの繁殖に有利で、首が長くなる遺伝子が受け継がれてきたという説です。

支持される理由

キリンのオスの首はメスの首に比べ、太く発達している。繁殖期にオス同士がメスを求めて争うネッキングでは、長く、発達した首を持つオスの方が有利。ネッキングに勝利した首の長いオスは、メスと繁殖が可能で首の長い遺伝子が子孫にも受け継がれる。このようにして、首の短い遺伝子が淘汰される。

確証を得られない理由

メスの首が長くなる理由を説明できない。メスはお互いに争うことはなく、首を長くする必要はない。

ウイルスが流行した説:首が伸びた理由

キリンとウイルスのイラスト

昔、キリンの間で首を伸ばすウイルスが大流行したため、キリンの首が伸びたという説です。

支持される理由

首を伸ばすウイルスが、キリンにとって無害なウイルスなら、キリンはウイルスに感染しても死ぬことはない。また、首が伸びたことで、食糧の確保に有利になったり、繁殖に有利になったりすれば、首が長くなったキリンは生存競争に勝ちやすくなる。その結果、首の短いキリンは淘汰される。

確証を得られない理由

首を伸ばすウイルスに感染したことを示さなければならない。

一言

結局、現在でも、キリンが首が伸びた理由を説明できてはいません。どの説も確証に欠けています。今後の研究に期待するしかなさそうです。

web動物図鑑キリンへ戻る