キリンのユニークな血の循環:web動物図鑑
キリンは有名な動物で、ご存じない方はいないと思います。動物園でも人気者のキリンです。そんな、キリンが高血圧なのは知っていますか。さらに、血圧の他に、血管にもユニークな特徴があります。ここでは、キリンの血圧、血管について見ていきましょう。
キリンは高血圧
キリンは高血圧です。下の表を見れば、一目瞭然です。以下の表は人間の血圧とキリンの血圧を比較したものです。
最高血圧/mmHg | 最低血圧/mmHg | |
---|---|---|
ヒト | 260 | 160 |
キリン | 120 | 80 |
キリンの最低血圧、最高血圧はともに、ヒトの2倍です。キリンの血圧の高さがよくわかると思います。
キリンの血圧が高いのは、頭が心臓よりもはるかに高いところにあり、頭まで血を運ぶ必要があるからです。
水を飲むときに血が頭に上らない?
さて、キリンに話を戻しましょう。キリンは、水を飲むときに頭を下げます。このときキリンの首は長いので血液は、ものすごい速度で頭に向かって流れます。このままでは、大量の血液が頭に向かって一気に流れ、頭に血が上ってしまいます。そこで、キリンの血管には頭を下げた時に、血が上ってしまわないような工夫がされています。
奇驚網が血液の速度を調整する
水を飲む際に、キリンの頭に血液が上らないのは、キリンの頭の血管の手前にある、奇驚網(ワンダーネット)のおかげです。奇驚網は、頭の手前にある毛細血管の束です。心臓から送り出された血液は、大きな血管を通って頭の手前まで運ばれます。そして、奇驚網を通り頭まで運ばれます。
水を飲む際に、頭を下げた場合、一本の太い血管を流れてきた血液が奇驚網を通ることで、分岐されます。そのため、血流が遅くなり、一度に大量の血液が頭に流れ込むのを防いでいます。奇驚網のおかげで、キリンは頭に血が上ることはないのです。
心臓に血液を戻す血管の工夫
キリンは、心臓に血液を戻す血管にも工夫が施されています。心臓に血液を戻す血管を静脈と言いますが、キリンに限らず静脈を流れる血液は、心臓から送り出された血液ほど勢いがありません。
特に、キリンの、脚の先や頸部は心臓から遠く離れた位置にあります。そのため、静脈を流れる血液の勢いは特に小さくなってしまい、重力に逆らえず血管を逆流してしまう恐れがあります。
血液の逆流を防ぐために、キリンの蹄(ひづめ)の近くと頸部の静脈には弁があります。頸部の弁は、キリンが水を飲むときなどに頭を心臓より低くまで下げた際の、血液の逆流を防いでいます。
一言
奇驚網は草食動物に共通した特徴ですが、キリンの場合は奇驚網が特に発達しています。そのため、血流の流れをコントロールすることがが可能なのです。