ヒグマの特徴:web動物図鑑
ここではヒグマの特徴を紹介します。
食事
ヒグマは、雑食性で生息している地域によって、食べ物が異なります。地域によって生息している動植物が異なるからです。エサとなる動物には、シカ、イノシシ、トナカイなどの大型の哺乳類や、ネズミ、リス、マーモットなどの小型哺乳類がいます。さらに、哺乳類以外にも、鳥、その卵、魚、昆虫などを食べます。
そして、これらの動物を自分で狩る以外にも、トラやオオカミが仕留めた獲物を奪います。また、動物の死骸を見つけその肉を食べることもあります。クマは、視覚や聴覚はヒトと同程度ですが、嗅覚は哺乳類の中で最も優れています。そのため、遠くからでも動物の死骸をみつけることができるのです。
クマと聞くと、秋にサケやマスを捕まえているところを想像しますが、日本でサケやマスを食べているクマはヒグマです。日本ではサケやマスの数が減少して、ヒグマの食事に占めるサケやマスの割合も減少しているそうです。
植物としてヒグマが食べるものには、果実や球根、木の葉、草などがあります。ヒグマは雑食性ですが、草食動物のように植物繊維を消化できるような作りではありません。そのため、タンパク質を多く含む新芽や若葉などを好みます。
ヒグマは昼夜関係なく、食べ物を探して活動します。
分布と日本における生息地
ヒグマはクマの中で最も生息域が広く、ヨーロッパ、アジアに加え、北アメリカ大陸に生息しています。一般的に、ヒトの少ない寒冷な地域で森林に生息しています。過去には温暖な地域に生息していましたが、開発が進み、北方へと住処が追いやられました。
また、ヒグマは寒冷な地域に生息するものほど、体が大きくなります。寒冷な地域に生息するヒグマほど、体積に対する表面積の割合を小さくすることで、熱が逃げるのを防いでいると考えらます。これは、ベルクマンの規則の一例だと考えられています。ベルクマンの法則に関しては以下を参考にしてください。
日本でのヒグマの生息地は北海道のみです。本州以南にはヒグマは生息していませんし、九州と沖縄には、クマ自体生息していません。本州と四国に生息しているのは、ツキノワグマです。
ツキノワグマの特徴については以下を参考にしてください。
日本のヒグマとグリズリー
ヒグマは日本では、北海道に生息しています。(本州に生息しているクマはヒグマではなく、ツキノワグマです。)北海道に生息しているヒグマは、エゾヒグマと呼ばれるヒグマの亜種です。エゾヒグマは全長が大体1.8~2.3 mで、体重はおよそ120~250 kgです。
また、「アメリカにグリズリーというクマが生息している。」という表現を目にしたり、耳にしたりしますが。この「グリズリー」もヒグマの亜種です。「グリズリー」は英語で日本語では、「ハイイログマ」と言います。グリズリーは、大きな個体は体重が450 kg以上になることもあります。しかし、平均的な個体の大きさは、エゾヒグマと大きく変わりません。
冬眠
ヒグマは、冬になると、生きていくために十分な食べ物を確保できないために、冬眠すると考えられています。ヒグマは冬眠中、食事をしない代わりに、排尿や排便も一切行いません。そのため、冬眠をする前に、自分の体重を数十パーセント増加させ、冬眠を乗り切るためのエネルギーをため込みます。
日本のヒグマの場合、秋になるとブナやミズナラのドングリを秋に食べることで、冬眠に必要なエネルギーを貯めます。ブナやミズナラのドングリの凶作の年には、冬眠のためのエネルギーを貯蓄するのが困難な時には、食べ物を求めて人里に下りてくる来る頻度が上昇しクマとの遭遇頻度が上がります。
また、雌のヒグマは、冬眠をしている期間に子どもを産みます。ヒグマの場合大体1~3匹ほどの子どもを産みます。
ヒトとの遭遇
ヒグマは最高速度65 kmで走ることができると言われています。クマに遭遇しても走って逃げるなんて無理です。基本的にクマは、自分から進んでヒトに近づくことはありません。ヒトとの偶然の遭遇に驚いた場合に、威嚇行動をとります。ただし、子連れの雌のクマや、怪我を負ったクマは子どもや自分の身を守るために、攻撃してくることがあります。
クマとは遭遇しないのが一番です。クマがいるような山に入るときは、必ずスズをつけて、離れたクマにヒトがいることを知らせましょう。そうすると、クマの方から避けてくれます。
一言
ヒグマが子グマのように、体が小さいときは木登りができるそうですが、体の大きな大人は木登りができないそうです。体が大きくなるとは、一概に得とは言えませんね。