ニホンカモシカの特徴:web動物図鑑
シカの仲間ではない
ニホンカモシカは「シカ」という言葉が名前に付きますが、「シカの仲間」というには遠すぎます。ずっと遡れば、カモシカとシカのご先祖様は共通ですが、カモシカにはシカよりも近い動物がいます。
ニホンカモシカに近い、身近な動物は「ヤギ」や「ヒツジ」です。正確には、ヤギやヒツジはそれぞれ「ヤギ亜科」というグループに含まれる「ヤギ属」、「ヒツジ属」の動物の一種です。ニホンカモシカは、「ヤギ亜科」というグループに含まれる「カモシカ属」の動物の一種です。
ややこしくなりましたが、結論としては
ニホンカモシカ:ヤギ、ヒツジに近い動物
になります。
急な崖や積雪に特化した脚
ニホンカモシカの生息地には、岩場や、崖などが含まれます。また、冬には雪が積もるような地域も含まれます。そこで、カモシカはこのような場所で生活しやすい脚を持つようになりました。カモシカの脚の特徴は以下です。
蹄(ひづめ)が左右に広がる
まず、他の草食動物に比べて短く、太い足を持っています。このおかげで、重心が低くなり、バランスを取りやすくなります。また、冬になると雪が積もるような場所に生息していますが、太く短い脚の方が、雪をかき分け進むのに適しています。
次に、カモシカの蹄の間は、左右に広がるようなっています。そのため、足場が少ない崖でも、小さな出っ張りなどを利用しやすくなります。
食事
カモシカは草食動物で、薄暗い早朝と夕方に食事をします。カモシカは様々な植物を食べます。以下が例です。
- 葉
- 芽
- ドングリ
- 樹皮
- 花
- 果実
- 地衣類
冬に雪が積もると、鋭い嗅覚で食べ物を探し、前脚で雪をかき分けることで掘り起こして食べます。
また、カモシカは胃を4つ持ち、反芻(はんすう)を行います。反芻と4つの胃の役割については、以下でウシを例に詳しく解説しています。
反芻をする際は、岩場などの見晴らしの良い場所に移動して座り込んで行うことが多いです。
分布
ニホンカモシカは、日本のみに生息する固有種です。生息している地域は、京都府より東部の日本と、九州(大分県、熊本県、宮崎県)と四国です。また、紀伊半島や鈴鹿山脈にも点在して生息しているそうです。
標高の高い山地を好みます。急な崖や降雪の多い地域にも生息しています。ニホンカモシカの個体数は長年減少傾向にあります。この原因には、狩猟や開発が挙げられます。また、ニホンジカの生息域拡大により、生息地を追いやられていることも原因だと考えられています。
角
ニホンカモシカはシカの仲間ではありません。そのため、角は一生生え変わりません。オス、メスに関係なく角を持ちます。さらに、年輪のように、角は1年毎に成長した跡が残ります。
単独で生活
ニホンカモシカが群れを作ることは稀です。縄張りを持ち、普段は自分の縄張り内で単独で生活しています。一頭一頭の縄張りの領域は、一般的にオスの方がメスよりも広く、同性間で縄張りが重複することはありません。同性間で縄張りが重なっていて、遭遇すると縄張りをめぐって角を突き合わせて闘います。
一言
ニホンカモシカは、他の草食動物に比べて、見た目が独特な気がします。筆者はその理由が、首回りの長い毛、短い角、胴の大きさに比べて短い脚が原因だと思っています。